催眠療法(ヒプノセラピー)には、「前世療法」というワークがあります。アメリカの精神科医ブライアン・ワイス博士(Brian L Weiss M.D)の著書「前世療法(PHP研究所)」(原題Many Lives,Many Masters)のヒットによりその知名度は高くなりました。
その本で紹介されているワイス博士の前世療法の事例は、日本の人気番組でも実話の再現ドラマとしてドラマティックで感動的に紹介されましたので、催眠療法イコール前世療法とお考えの方も多いのではないかと思います。
前世療法とは、今の自分に強い影響を与えている、「自分として生まれ変わる前の人生」を催眠の中でイメージをするワークです。これを体験することによって、自分が生まれてきた意味や意義、今世での自分に与えられた使命、更に、今世で自己に関わる人間関係についての新たな気づきと自己理解を深めることが期待できます。
前世療法にて扱うテーマは「自分として生まれ変わる前の人生」ですから、個人の持つ死生観や宗教観によっては、受け入れがたく感じる人もあるかもしれません。もしかすると、催眠療法の「どことなくオカルティック」というネガティブなイメージは、「自分として生まれ変わる前の人生」にフォーカスする、この前世療法によるものかもしれません。
前世があるかどうかを確認するのは、なかなかできるものではありません。私は、前世があって都合の悪い人には無くてよいですし、魂の輪廻を信じる人の思想を邪魔する必要は無いと私は考えます。なぜなら、前世療法において、「自分として生まれ変わる前の人生」があるか否か、信じるか信じないかは全く問題にはならないのです。
それは、前世療法にてイメージした「自分として生まれ変わる前の人生」は、睡眠中に見る夢と同じように、個人の日常において感じている抑圧されて意識下にない願望などが、全く違ったスチュエーションのイメージとなって現れる「潜在意識が自分に与えたメッセージ」だからです。
睡眠中の夢が見せるイメージは不可思議で不可解な現象であることが多いので「なぜ、こんな夢をみたのだろう?」と夢の示す意味を知りたいと思った経験を持つ人も多いでしょう。
夢の解釈は、夢占いなどの占いとして解釈する場合や、心理学では無意識の働きを意識的に把握するための夢分析がありますが、催眠療法やゲシュタルト療法の「夢のワーク」では、潜在意識が自分に与えたようとしたメッセージの意味をあなた自身が解釈することで、新たな気づきと自己理解を深めることを目指しています。「前世療法」も「夢のワーク」と全く同じ。解釈するイメージが「睡眠中に見た夢」なのか「催眠中にイメージした物語」なのかの違いだけです。
先に述べたように、前世が本当にあるかどうかはわかりませんが、「前世は無い。信じない。」と言う人でも、催眠によって前世へ誘導すると、今の人生とは異なる人生を、まるで思い出したように語り始めるのです。
前世のイメージは、あなたのイメージ力の高さや、被暗示性、表像システムによって異なります。私の臨床経験においては、映像としてスクリーンを見ているように現われる場合、自分がその時の人物になりきった状態で周囲の様子が見える場合、映像や音声に依存せず、ストーリーのみが次々と浮かんでくる場合、ストーリーなどはイメージできなくても、体感覚を通して感情が理解できる場合に分かれ、その感覚は単独であったり、またはいくつかの特徴をあわせ持ったりと、人によって様々です。
今世の人生に、困難な悩みや問題、複雑な人間関係があったとしても、前世療法を受けることで、その問題や人間関係が自分に与えている意味や意義、学ぶべき点を解釈することができ、その結果、問題の受け取り方が変化し、現実的な問題解決の手がかりに気がつくに至ります。
また、前世療法では、前世の一生だけでなく、死の場面以降、再び生まれ変わる前の「魂」としての視点観点から、終えてきた人生を振り返りますから、終わったばかりの人生でやり残したことや、今後の人生へどのような課題を残しているのかを知ることも期待できるのです。
前世療法とは、自分の無意識から有益なメッセージを受取り、自分の中にもともと備わっているのに、注目することのなかったポジティブな自己に気が付けるワークなのです。
こんな人におススメです
・ 自分が生まれてきた意味や意義を知りたい。
・ 前世の存在を肯定していて、自分の前世をイメージしたい。
注意
・ あまりにも根の深い悩みや問題に苦しんでいる最中の方にはおススメできません。
・ 集中力、物語を作る想像力、被暗示性の高さが必要になるワークです。
・ ワイス博士の本の事例のようなドラマティックな前世が体験できる人は、ごくわずかです。